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BOD(生物化学的酸素要求量)とは
  BOD(生物化学的酸素要求量)とは水中の有機物量の指標であり、好気性微生物が水中の有機物を特定の期間(一般的には五日間)にわたって分解するために必要な酸素量と定義されています1。BODはCODと並んで水の汚染指標として用いられ、BODの値が高いほど有機物による水中汚濁が進行していると考えられています2

 BODが計測する有機物が水質汚濁の指標とされているのは、有機物が腐敗の原因物質であることによります。一般に自然界において物が腐敗するのは嫌気性微生物が有機物を分解するためで、その際硫化水素やアンモニアなどのような悪臭が発生しやすくなります3

 通常、河川の水中有機物量はBODで、海や湖の場合はCODで計測されますが、これは海の場合は塩類で微生物の生育が阻害され、湖の場合は藻類が光合成で酸素を放出するため正確なBODを計測することが困難であることからCODが用いられています4

 CODの場合、汚染物質ではなく微生物では分解が難しい有機物であっても酸化されてしまう可能性がありますが5、BODは微生物によって消費されない有機物については測定されないため、対象水域における自然浄化力を含めた汚染指標と考えることが出来るという利点があります6。そのため実際の水質はCODよりもBODによって適切に示されるとされています。

 ただしBODは測定が完了するまで時間がかかり、結果が不安定で7、微生物の活性を阻害する物質が含まれる場合、測定値に著しい誤差が生じます8。また、硝化微生物によるアンモニア等の窒素化合物の酸化には有機物の分解をともなわずに溶存酸素が消費されますが、これは下水道が普及した都市河川では顕著となっていて、BODを完全な有機物指標とするのは難しいという欠点を有しています9

 一般にBODの理想値は5mg/L以下とされていて10、水質汚濁防止法における一般排水基準としてBODの許容限度は、160mg/L(日間平均120mg/L)と定められています11。令和五年における福岡の下水処理場の例では、流入水(下水処理場に入ってくる汚水)のBODは年平均値で約200mg/L程度、放流水(河川等へ放流される処理水)のBODは年平均値で約5mg/L未満となっています12



商品名:プール清掃用サイオン

詳細:乳酸菌を中心とする有用微生物群が藻類等の有機物を分解することで、プール、池や堀などの水域での腐敗や悪臭を抑制します。

容量:10L

価格:19,800円(税込、送料別)

内容:乳酸菌、酵母など


脚注一覧
  1. Fida Hussain, Hye-Weon Yu, Kangmin Chon, Yong-Gu Lee, Heonseop Eom, Kyu-Jung Chae, Sang-Eun O. Real-time biomonitoring of oxygen uptake rate and biochemical oxygen demand using a novel optical biogas respirometric system. Journal of Environmental Management. 2021. 277. ↩︎
  2. Ying Zhou, Shiling Zheng, Wei Qin. Electrochemical biochemical oxygen demand biosensors and their applications in aquatic environmental monitoring. Sensing and Bio-Sensing Research. 2024. 44. ↩︎
  3. 福山丈二, 本多淳裕. 悪臭の生物学的処理法とその実例. 環境技術. 1981. 10(6). ↩︎
  4. 的場輝佳. 生活排水と環境. 日本調理科学会誌. 1995. 28(2). ↩︎
  5. Zongqing Lv, Xilin Xiao, Yu Wang, Yao Zhang, Nianzhi Jiao. Improved water quality monitoring indicators may increase carbon storage in the oceans. Environmental Research. 2022. 206(15). ↩︎
  6. 日色和夫. 水質汚染を知るには何を測るか. 環境技術. 2002. 31(5). ↩︎
  7. Zongqing Lv, Xilin Xiao, Yu Wang, Yao Zhang, Nianzhi Jiao. Improved water quality monitoring indicators may increase carbon storage in the oceans. Environmental Research. 2022. 206(15). ↩︎
  8. 日色和夫. 水質汚染を知るには何を測るか. 環境技術. 2002. 31(5). ↩︎
  9. 新矢将尚. 水質汚濁に係る環境基準の改正の流れと要点. 生活衛生. 2011. 55(1). ↩︎
  10. 的場輝佳. 生活排水と環境. 日本調理科学会誌. 1995. 28(2). ↩︎
  11. 環境省."一般排水基準". 環境省. https://www.env.go.jp/water/impure/haisui.html ↩︎
  12. 福岡市道路下水道局下水道施設部水質管理課."令和5年度の水処理センター毎の水質測定結果". 福岡市. 2024年12月11日. https://www.city.fukuoka.lg.jp/doro-gesuido/suishitsu/hp/01/R5.html ↩︎