EC(電気伝導率)とは
EC(電気伝導率)とは水溶液中での電気の伝わりやすさを示す指標のことで、電気比抵抗の逆数として示されます1。ECは水中のイオン濃度と比例関係にあることから2、ECを用いることで水中の溶存イオン量を大まかに表すことが可能で、簡便に計測出来るため水質の代表的な指標の一つとして用いられます3。
電流は金属内では流れやすい(導体)一方で、ガラス内ではほとんど流れません(不導体)が、電気の通りやすさは物質の中を電子が移動しやすいかどうかで決定されます。水溶液の場合は電子ではなくイオンが電気を運び4、電解質の水溶液では電気が流れ、非電解質の水溶液では電気が流れません。
水の純度は電気伝導率で示されますが、純水の場合は不純物(電解質)が少ないため電気が流れにくくなるため電気伝導率は低くなり5、逆に不純物(電解質=イオン)が多いと電気が通りやすくなることで電気伝導率は高くなるので、ECが高ければ不純物が多いことを示します。
ECはイオン性物質(電解質:塩など)の濃度に比例するという性質上、非イオン性物質(非電解質:砂糖など)が水中に溶けていたとしてもそれは電気伝導率(EC)にはほとんど影響を与えないという特徴があります。すなわち、ECを測定することによって水中の電解質の多寡を推測することは可能ですが、非電解質の多寡を推測することは出来ません6。
尤も、ECは水質汚染の指標であるTDS(総溶解固形物)、TN(全窒素)、TP(全リン)、SS(浮遊物質量)等との間に正の相関関係があることや7 8、様々な研究によってECと水生生物の間に負の相関関係があると実証されていることことから9、水質汚染の程度についての重要な指標として用いられ、ECの値が高くなることは通常、水質汚染が進行しているものと捉えられています10。
一般的な天然水のECとしては雨水が10~30μS/cm、河川上流では50 ~100μS/cm、河川下流では200~400μS/cm程度とされており、水質の指標として活用されています11。国際基準では下水のECは安全値が1000μs/cmに制限されており、人間や水生生物の安全のための制限値として1500μs/cmが設定されています12。

商品名:プール清掃用サイオン
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容量:10L
価格:19,800円(税込、送料別)
内容:乳酸菌、酵母など
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脚注一覧
- 松本健作, 小堀圭祐, 石上彩弥太. 観測孔内における電気伝導度特性に着目した河川近傍伏流水の状態推定に関する研究. 土木学会論文集B1(水工学). 2020. 76(2). ↩︎
- 池田早苗, 本仲純子, 佐竹弘. 吉野川の溶存イオン種濃度とその電気伝導率からの推定. 日本化学会誌(化学と工業化学). 1991. 1991(6). ↩︎
- Andres Marandi, Maile Polikarpus, Argo Jõeleht. A new approach for describing the relationship between electrical conductivity and major anion concentration in natural waters. Applied Geochemistry. 2013. 38. ↩︎
- 立川直樹, 渡邉正義. イオン液体を用いた電気化学デバイスへの展開. Journal of the Vacuum Society of Japan. 2013. 56(2). ↩︎
- 筧俊昭. 純水・超純水. Drug Delivery System. 2021. 36(4). ↩︎
- 藤井哲雄. 水質と金属の腐食. 表面技術. 2000. 51(2). ↩︎
- Mridu Sahu, Anushree Shrivastava, D.C. Jhariya, Shivangi Diwan, Jalina Subhadarsini. Evaluation of correlation of physicochemical parameters and major ions present in groundwater of Raipur using discretization. Measurement: Sensors. 2024. 34. ↩︎
- Qiangqiang Yu, Rui Liu, Jiangjie Chen, Lujun Chen . Electrical conductivity in rural domestic sewage: An indication for comprehensive concentrations of influent pollutants and the effectiveness of treatment facilities. International Biodeterioration & Biodegradation. 2019. 143. ↩︎
- Michael Y. Thompson, David Brandes, Arthur D. Kney. Using electronic conductivity and hardness data for rapid assessment of stream water quality. Journal of Environmental Management. 2012. 104(15). ↩︎
- Janardan Mainali, Heejun Chang . Environmental and spatial factors affecting surface water quality in a Himalayan watershed, Central Nepal. Environmental and Sustainability Indicators. 2021. 9. ↩︎
- 森本洋一, 猪狩彬寛, 齋藤圭, 山形えり奈, 竹本統夫, 苗村晶彦, 小寺浩二. 多様な河川における水質特性の把握. 人間生活文化研究. 2022. 2022(32). ↩︎
- Mohamad A. Alkhalidi, Sarah M. Hasan, Badreyah F. Almarshed . Assessing coastal outfall impact on shallow enclosed bays water quality: Field and statistical analysis. Journal of Engineering Research. 2024. 12(4). ↩︎